ギワクのユウベ
帰ってこない…
すやすやと惰眠をむさぼる私の耳に、階段を上がる音がする。
ああ・・・、この音を聞き始めてもう20年近くかあ・・・。
そしてこのあと、大概トラブルの怒号が響くのだ。
Y子登場
「昨日旦那が帰って来なかったよ!!」
ほらね。
浮気してんじゃないかって、同じ会社の人にきいたんだけど何も教えてくれなくて・・・、Y子はまくしたてた。
「本人に聞けば?」
ベットにもぐりこみながら私は言った。
「怒るのはそれからじゃない?」
私の言葉に冷静になったのか、Y子ゴジラは踵を返し、家に帰って行った。
翌日。
再びゴジラ現る・・・、私は起きて待っていた。
「終電のがしてネットカフェにいたんだって!!」
ふーん、私は気のない返事をした。
「そんで?疑惑のゆうべの結論は?」
Y子は勝手知ったるといった風に私のパソコンデスクの椅子に座り、ロダンの「考える人」みたいなポーズを取った。
「信じるか、信じないか」
ベットの上で私はごろんと横になる。
「君次第だね」
ごろごろ転がった。気持ちいい。
「・・・信じる」
苦渋の決断、そんな顔でY子は言った。
あと20年、やっぱりこんなことが続くのだろうか・・・。
ふーん、私はそっぽをむいて、Y子に気付かれないようにため息をついた。